考えすぎは才能!?ステージングアドバイザー竹森徳芳氏の、違和感を言語化し心の引き出しを増やす習慣

日常の些細な違和感や、つい考えすぎてしまう癖。それは、自分や周囲を豊かに整えるための才能かもしれない。伝統芸能の知恵を現代のエンターテインメントに昇華させる、ステージングアドバイザー・竹森徳芳氏にお話を伺いました。

Supervisor

竹森 徳芳(Noriyoshi Takemori)

振付・演出・ステージング・企画制作・エンタメを作る人

水曜日のカンパネラのステージングや、BEYOOOOONDS、NGT48など数多くのアイドルやアーティストのコンサート演出・振付を担当。ダンスのみならず、ステージ上での身体表現をトータルでプロデュースする。

Podcast Information
本記事はインタビューの一部を抜粋、要約したものです。インタビューの全編はポッドキャストにて配信されています。竹森氏のさらに深い哲学や現場のエピソードを、ぜひ音声でもお楽しみください。

感情の波を「設計」する。伝統芸能から続く方程式

竹森氏が創るステージには、常に緻密な感情の波の設計があります。その戦略の裏側には、世阿弥の『風姿花伝』に代表されるような、古くから伝わる知恵が息づいていました。

竹森氏:

「能や狂言の時代から考えられていることだと思うんだけど、よく例えに出すのは『夏に外で食べるもの』とか『冬に屋台で食べるもの』の話。食べ物単体がおいしいかどうかじゃなく、環境や状況が設定されることでより美味しく感じることってあるじゃない。何かを楽しむときに、その要素が加わるとより楽しいっていう『方程式』みたいなものが人の中にはあって。それを細かく分類していく、いわば統計のようなものだね」

「違和感」を放置せず、言語化してストックする

竹森氏は、ダンスの振付以前に、人が日常的に感じる違和感を徹底的に分析し、自分の中に引き出しとして蓄積していると語ります。

竹森氏:

こういう言葉を言った後にこれを言ったほうが伝わるなとか、セリフもダンスもそうなんだけど、この動きの後にこうすると自然に見えるけど、別の動きの後だと違和感が出る。その組み合わせを自分なりに分析して、いっぱい引き出しに入れておくんだ。現場で上手くいってないなと思った時に、その引き出しから最適解を出す。調味の仕方に近いかな。

その分析の視点は、ダンスの技術よりも、さらに根本的な人間としてのあり方にも向けられています。

竹森氏:

お客さんはダンスの細かい技術よりも、歩き方とか人との関わり方といった日常的な感覚でステージを見てる。だから、あの男の人が女の人を触る時の手がちょっと嫌だなという違和感にはすごく敏感なんだよね。日常でも、このタイミングでああ言うべきじゃなかったという失敗の積み重ねを全部分析して、何が人を喜ばせ、何が悲しませるのかを考えるようにしている。

「考えすぎ」が生む、自分も周囲も救う準備

インタビュアーは竹森氏の振付助手を務めた後、氏がプロデュースするダンスアンドボーカルユニットでは演者として共にライブ制作を行った関係性。

竹森氏は自身のプロデュースやマネジメントの現場で、水や充電器など誰かが忘れるかもしれないものを常に用意している印象がありました。周囲から「ドラえもん」と呼ばれるほど徹底した事前準備についても伺いました。

竹森氏:

一番しんどいのは、みんなで決めたことができなくなること。人間だから忘れるのはしょうがない。だったら、覚えている僕が余計に準備しておけば、みんながやりたかったことが成立するでしょ。考えすぎて生きづらさはあるけど(笑)、それを言語化して仕事にすることで、より良いステージングができるんだと思う。サポートできる人がすればいい。それでいいじゃん、って思うんだよね。

考えすぎてしまう繊細さは、相手の立場に立ち、心地よい環境を整えるための強力な武器になります。竹森氏のステージング術は、私たちが日常という舞台をより良く、優しく歩むための知恵そのものでした。

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